人間は完璧ではありません。
それは頭ではわかっていることですが、世界的に有名で偉人と言われる人たちはやはりどこか自分とは違う人なのではないか…そんな風に思っていました。
野口英世の伝記は、私がこれまで持っていた偉人と呼ばれる方たちに対するイメージをことごとく変えてくれた本。
実は伝記からは『だから、あなたもこういう風に立派な人間になりましょう。』というメッセージを感じてしまい、これまであまり読んでこなかったんです。
読まず嫌いというのは、何だか勿体ありませんでしたね。
この本に出会い、世界的な偉業を成し遂げた野口英世という方にも親しみの湧くような一面があったのかと驚いたとともに、こんなに読むのが面白い本なら小学生の頃に読んでおけば良かったと今では思います。
今回は、小学生の読書感想文にもおすすめしたい野口英世の伝記を紹介しようと思います。
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伝記『野口英世』のあらすじ
明治26(1893)年、福島県にある猪苗代高等小学校を卒業した野口清作(のちの野口英世)は、これまでお世話になってきた小林栄先生のところへ自分の将来について相談に向かいます。
高等小学校を一番の成績で卒業した清作でしたが、家が貧しかったため今後については決まっておらず、清作は母シカと相談の上、小林先生の元を訪ねることにしたのです。
1歳5カ月の頃、いろりで左手にやけどをした清作。
清作が高等小学校に在籍中、先生方や生徒たちに呼びかけ、清作のこの左手の手術をするための費用を集めてくださったのが小林栄先生でした。
やけどをした左手のために、小さい頃は子供たちにいじめられたこともあった清作。
いつか見返してやろうという悔しさをバネに勉強に励んできました。
左手の手術は成功し、このときの嬉しさから、清作の中では何としてでも医者になろうという決意が生まれます。
ただその当時、医者になるためには国立の医学校を出るか、国家試験に合格するほかはありませんでした。
母シカがどんなに休む間もなく働いても貧しかった清作の家。
高等小学校へ通うことでさえ普通であれば難しく、ここへ進学出来たのも小林先生の援助があってのことでした。
清作はこれから先、どのようにして医者の道を目指していけばよいのでしょう。
1つ1つの人との出会いが、清作の…野口英世の運命を変えていきます。
主な登場人物
野口清作(のちの野口英世)
明治9(1876)年11月9日、福島県翁島村(今の猪苗代町)に生まれる。
家は貧しかったが、1歳5カ月の頃いろりで左手をやけどしたことがきっかけとなり、医学の道を志す。
念願だった医師になるための試験に合格後は、細菌の研究に力を注ぐ。
野口シカ
野口清作(のちの野口英世)の母。
英世の父佐代助が働かずお酒を飲み遊んで暮らしていたため、生活は非常に苦しく、母や夫、子どもたちを養うため、朝から晩まで働いた。
野口代吉(のぐちだいきち)
英世の同級生。大きな宿屋の優しい子。
油を思うように買えず、自分の家ではかまどやいろりの火で勉強するしかない英世だったが、代吉に誘われ代吉の家で夜遅くまで勉強した。
小林栄(こばやしさかえ)
成績は素晴らしかったが経済的に貧しかった英世のため、猪苗代高等小学校に入るための費用を援助し、またやけどをして不自由だった英世の左手の手術ができるよう、周囲の人たちに働きかけてくれた恩師。
英世が高等小学校を卒業後も、英世が困ったときには相談に乗り、経済的な面でも支えとなった。
渡部鼎(わたなべかなえ)
アメリカ帰りの医師。会津若松で『会陽医院(かいよういいん)』を開く。
英世のやけどをした左手の手術を行った。
小林先生のアドバイスもあり、高等小学校卒業後の英世が医師になるため、はじめに頼った人物。
血脇守之助(ちわきもりのすけ)
会陽医院の渡部院長の友人である歯科医。
夏の間だけ特別に東京から会津地方に診察に来た。
その際、夜遅くまで勉強に励む英世に感心し、東京に来ることがあったら自分のもとを訪ねるように…と、名刺を渡す。
感想
野口英世という人は、自分を大きく見せようとした人ではありませんでした。
どれだけ立派な功績を残しても、謙虚な一面を持ち、自分にわからないことはわかったふりをせずに頼りにしている先生方に相談していました。
経済的な面では、給料をいただいてもあればあっただけ使ってしまうという頼りないイメージですが、あれだけ周りの人たちに迷惑をかけながらも困ったときにはいつも誰かに助けられています。
どうも憎めないというか、周りの人たちからするとつい手を差し伸べてしまいたくなるそんな方だったのでしょう。
家は貧しく経済的な余裕はありませんでしたが、そんな環境でも人の何倍も勉強し医者になることを決して諦めなかった野口英世。
そんな英世の姿は母シカだけでなく、周囲の人たちの心を動かします。
困難があってもまわりの方たちに支えられながらそれを乗り越え、医学の道へ進んだのもまるで何かに導かれているかのようでした。
自分の信念を持ちそれに向かって邁進する姿は、時代が変わっても私たちの心に響くものがあるはずです。
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